皆さん、お待たせいたしました。
10月11日、豊洲市場はついに開場の日を迎えます。いよいよですね。
そこで今号は、移転に関する直前情報を得るため、東京都の中央卸売市場管理部・渉外調整担当課長の御郷誠さんとの特別対談を実施。
お相手は、東京湾岸スタイル®の発行元であるNPO法人コミュニティクラブの久坂誠治理事長が務めました。
一般道への影響を考慮して主に専用道路を使って移転。
久坂誠治理事長(以下、久坂):
築地市場が江東区豊洲へ移転して、豊洲市場が開場する日が目前に迫りました。
私たちが発行している東京湾岸スタイルの読者の方たちは、とても楽しみにしていると思いますが、まずは移転のスケジュールをお聞かせください。
御郷誠渉外調整担当課長(以下、御郷):
日程的には10月6日に築地市場の業務が終了し、その後の約4日間で移転を行います。
業者の方たちには、事前に持って行けるものは豊洲の方に運んでもらうようお願いしてありますし、開場後も1週間ほどは築地市場に入れるようにするなど、調整期間を設けています。
久坂:
引越を行う順番や割り振りは業者さんの方で調整されていると思いますが、あれだけの規模の市場の移転が4日間というのは、少し短いのではないかという気がしますが、その辺はいかがでしょうか。
御郷:
あらかじめ事前に運べる物は運ぶなど、市場業者団体などを通じて引越業者さんと綿密に計画しておりますので、10月11日には取引が始められるようしっかりと対応していただけると思っています。
久坂:
周辺住民の中には、市場の引越を滅多にないイベントと捉えている方もいらっしゃると思います。
もしかしたら、ターレーのパレードが見られるんじゃないか。そんな噂話もありますが、実際のところはどうなんでしょうか。
御郷:
期待していただくのはうれしいのですが、残念ながらパレードのようなイベントは都としては考えておりません。
ターレーを移動させる時間は、決められた時間のみとなっていて、しかも引越車両は、一カ所の交差点以外の公道を走ることはありません。
まだ開通していない築地大橋や豊洲大橋を渡る引越専用のルートを使用しますので、一般道への影響も最小限に抑えられるのではないかと思います。
久坂:
渋滞の心配がほとんどないということですね。それを聞いて安心しました。
御郷:
築地からの引越車両は、専用ルートしか走れないことになっているのですが、周辺住民の方たちには、多少なりともご迷惑をおかけすることになるかもしれませんので、ご了承いただけるようお願いいたします。
築地市場の問題点を豊洲市場が解決!
久坂:
豊洲市場の特性についてはテレビ報道などでも紹介されていますが、あらためて築地市場との相違点をお聞かせください。
御郷:
築地市場が開場したのは昭和10年ですから、今年で83年が経過したことになり、さすがに老朽化が深刻化していました。
久坂:
しかし、市場を営業しながら建物をリニューアルすることは不可能だということで、豊洲への移転が必要だったと聞いています。
御郷:
築地市場は老朽化だけではなく、構造自体にも問題がありました。
築地市場が開場した当時は、物流の中心が貨車と船だったので、市場内の駅を扇形のプラットフォームにして、多くの車両が停められるような工夫が施されていました。
それが現在では、トラック輸送が大半を占めるようになったため、構造的にそぐわなくなってしまったんですね。
久坂:
80年前の人たちは、これほどモータリゼーションが進むとは思っていなかったでしょうからね。
御郷:
しかしトラック輸送が中心になると、産地からトラックで魚が届いて、それを買い出す人たちが車で搬出するので、お互いの動線が錯綜して過密化する一因となりました。
その点、豊洲市場は、産地から届いた魚は水産卸売場棟の方から入って、連絡通路を通って水産仲卸場棟に運ばれるという、ワンウェイで商品が流れる構造になっています。
久坂:
また築地市場は、衛生管理の面でも問題があったと聞いています。
魚は生ものなので、特に夏場の高温対策は大変だったでしょうね。
御郷:
豊洲市場は、産地から届いた魚は連絡通路も含めて、外気に触れる機会がほとんどない閉鎖型なので、気温や気候などの影響を受けることはありません。
もちろん防虫・防鼠対策にもなり、食の安心と安全を高いレベルで確保できるようになります。
青果棟についても同様です。
久坂:
しかも築地市場は常に人が密集していて、あまり衛生的とは思えないイメージがありましたね。
実際に市場内で働いている人は何人ぐらいいるのでしょうか。
御郷:
市場内で働く人は約1万人いて、買い出しなどで市場に出入りする人は1日約4万人と言われています。
他にも銀行とか郵便局などもあって、ひとつの町を凝縮したような感じです。
見学者コースを整備して一般客にも市場を開放。
久坂:
いよいよ数日後には豊洲市場の開場となりますが、一般客にはどんな楽しいことが待っているのでしょうか、具体的にお聞かせください。
御郷:
豊洲市場は閉鎖型の施設ですので、築地市場のように売場へ自由に出入りすることはできませんが、一般のお客さま向けに見学者コースを整備しました。
詳細はホームページ等でご案内する予定ですが、マグロのセリなども見学デッキから見ることができます。
しかもそのデッキは上部が空いていますので、セリのかけ声や魚の匂いなどをリアルに感じていただける構造になっています。
久坂:
それは楽しみですね。築地で一番人気だったマグロのセリが見られるというのは、一般客にとってはなによりの楽しみになりそうです。
他にもお勧めポイントはありますか。
御郷:
市場の機能と直接は関係ありませんが、水産仲卸売場棟の屋上緑化広場にはぜひ足を運んでいただきたいですね。
こちらから望む晴海埠頭はまさに絶景ですし、豊洲ぐるり公園から直接エレベータでアクセスできるようになりますので、散歩の延長で利用いただくことも可能です。
久坂:
もちろん築地市場と同様に、市場ならではの新鮮な素材を使用した食事やプロの目利きに適った買い物が楽しめることも、大きな魅力ですよね。
御郷:
千客万来施設は2023年の開業予定ですが、それまでは様々な賑わいイベントを開催していきます。
東京都としましては、豊洲市場を周辺住民の皆さんが誇れるような施設、豊洲に市場が移転してよかったと思ってもらえるような施設として運営していきたいと思っていますので、ぜひご期待ください。
紆余曲折はありましたが、間もなく豊洲市場が開場の日を迎えることは、何よりも喜ばしいことです。
東京湾岸スタイルは、これからも豊洲市場を全力で応援していく所存です。
皆さんもぜひご一緒に、新市場を盛り上げていきましょう。
http://www.shijou.metro.tokyo.jp/press/2018/1004_2.html
一般の方は10月13日(土)午前10時から、場内の飲食店舗、物販店舗及び見学者通路をご利用いただけます。
<飲食店舗の場所>
5街区1階、6街区水産仲卸売場棟3階及び7街区管理施設棟3階
<物販店舗の場所>
5街区1階、6街区水産仲卸売場棟4階
10月13日(土)は午前10時から午後5時まで。
10月15日(月)以降は市場開市日の午前5時から午後5時まで(飲食店舗・物販店舗は各店舗の営業終了時間まで)です。
日曜日、祝日その他市場がお休みの日はご利用いただけませんので、ご注意願います。
ご利用に当たっては、開場間もない新しい市場での業務運営にご理解、ご協力をお願いします。
なお、一般の方の卸売場及び仲卸売場への立入りはご遠慮願います。
また、見学者用の駐車場、駐輪場のご用意がないため、お越しの際は公共交通機関(路線バス、ゆりかもめ)をご利用願います。
市場周辺道路に乗用車や観光バスを駐車してのご来場はご遠慮ください。
<マグロ卸売場の見学について>
マグロ卸売場のせり見学は、平成31年1月15日(火)から開始します。
受付等詳細については別途、お知らせいたします。
↓ 連載「開場までのカウントダウン企画」過去の記事はコチラ!
↓豊洲市場に隣接する「豊洲ぐるり公園」を走る、はじめてのマラソン大会です!