『水害被害は「濁流」「浸水」「長期間のインフラ停止」の3つ』

もし災害に遭ったとき、どのような行動をすればよいのか。
大切な家族を守るためのミニ知識をシリーズでお届けします。

水害被害は「濁流」「浸水」「長期間のインフラ停止」の3つ

今年の8月に、江東5区大規模水害マップが発表されたのはご存知でしょうか?

大地震や大型台風、高潮が発生して荒川水域が氾濫した場合、今までにない規模の災害が想定されます。その被害は大まかに3つに分かれ、「濁流」「浸水」「長期間のインフラ停止」が挙げられます。

まず「濁流」ですが、津波と同じように高さだけではなく押し寄せる水の性質に注意しましょう。
たとえ数十センチの高さでも、身体に触れると危険なゴミや廃材を含んでいます。
さらに浮遊物や堆積物が水面下にあり、見えない空いたマンホールの穴は落し穴になり、歩行はもちろん泥水で泳ぐのは困難と考えた方が良いでしょう。

次に「浸水」ですが、自分のいるエリアが直接水害に遭っていなくても、地下鉄や地下施設を介して浸水が拡がることが予想されますので、速やかに地上へ出ましょう。
そして地上に出ても安心せず、想定に基づいた高さを目安になるべく高所に避難しましょう。
浸水したドアは、およそ15cmで大人でも開けるのが困難になります。
ジワジワと川から押し寄せるイメージを切り替えて、江東5区はどこからでも浸水が始まる心構えが大切です。

最後の「インフラ停止」は、想像以上に長期に渡ると考えられています。
予測でも最長2週間以上のエリアが非常に多く、電気・上下水道・ガス・通信・物流すべてが影響を受けて近隣の避難所も機能しないと思われ、行政も浸水被害のない地域への広域避難を勧めるレベルまで長引くと想定しています。
数年前に鬼怒川の氾濫があったように、近年は過去の想定を超える災害が増えているので、これをキッカケに防災意識を変えましょう。

また、今回発表されたハザードマップには、巨大地震の堤防決壊は想定されてません。
しかしそれを不安に思うのではなく、何が起きても「最速に避難するか、最長に籠るか」その両方を準備しておく心備えが必要です。
津波が来ない野原で大地震が起きても、さして被害はありません。
あえて水辺や危険な建物に囲まれた街に住むのは、利便性を求めた結果として生まれた環境ですので、その成り立ちを理解すれば多くの災害は避けられると思います。

皆さんの普段の生活が安心・安全であることを願いながら、4回に渡って防災コラムを担当させていただきました。
防災の一助になれば嬉しいです。ご覧いただきありがとうございました。

CHECK!!
「江東5区大規模水害ハザードマップ」江東5区大規模水害広域避難計画について
https://www.city.koto.lg.jp/057101/bosai/bosai-top/topics/20180822.html

記事:防災士 渡邉 徹氏
インテリア商社在籍中に3・11を横浜で経験し、想定外と家族を考えるために防災士になる。関東大震災での最大被災地となった墨田区の東京都慰霊堂や新宿公園での防災講演をする傍ら、熊本大地震の際には現地入りして被災者支援活動を実施。楽しさのアプローチを標榜するため、『防災プレッパーズ』や『防災ママ』をwebで展開している。

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